東海大学・小貫大輔教授講演会 「エイズを巡る”solidarity” からコロナ時代を考える」

Action For Social Goodが理事をつとめているNGOで、東海大学の小貫大輔先生の講演会「エイズを巡る”solidarity” からコロナ時代を考える」を実施しました。エイズ予防の第一人者である先生の、感染症をキーワードにしたコロナ時代の理解、たいへん深く肚落ちしました。

――――コロナとの闘いについて、世界の知識人たちはこぞって”solidairty”を訴えています。でも、”solidarity”っていったいどういうことでしょうか。

日本のメディアは、この言葉を「団結」と訳したり、「連帯」と訳したり、ときには「連携」なんて訳したりもしています。「力を合わせて何かを一緒に行う」ことだと言いたいのでしょう。

ジャック・アタリは、”solidarity”を”altruism (他者愛 )”と言い換えたりもしています。「愛」なんて言葉が出てくると夢物語のように聞こえるかもしれませんが、アタリはだいぶ前から「他者愛は自己中心主義の知的な形態(the most intelligent form of selfishness)」と訴えてきています。

私は、アタリの言い方を引き継いで、でも、もう少し踏み込んで”solidarity”とは「心で繋がること」だと言いたいと思います。

“solidarity”とは、必ずしも、互恵的に力を合わせることばかりではなく、一方的に誰かが誰かのために働くこと、あるいは単にその人(たち)のことを思うことをも意味すると思うからです。

しかも、ある特定の人ではなく、まだ会ったこともない人、知りもしないし、これからも知ることもないであろう人のことを思う気持ちのことを、ヨーロッパの言語では”solidarity”と呼んでいるのだと思います。

それが、30年前、エイズを巡る”solidarity”という言葉の意味でもありました。

1990年代のエイズで言われた”solidarity”の感覚は、どうして可能になったのか、どこからやってきてどっちに向かっていったのか、今、新しい時代の人類のあり方にもつながる大きなテーマのように思えるのです。
(FB文章から抜粋)
 

小貫 大輔( おぬき だいすけ )
東海大学国際学科教授 東京大学とハワイ大学の大学院で性教育を学んだ後、1988年にブラジルに渡ってスラム「モンチアズール」でのアントロポゾフィー活動に参加。
2006年に帰国して現職 その間 エイズ予防財団 JICA 日本ユネスコ協会連盟他の資金をえてブラジル各地でエイズ予防 自然分娩・母乳育児の推進 子育て支援 識字活動などの分野で活動した。
帰国後は 日本に住むブラジル人の子どもたちの教育支援に力を入れ、ブラジル政府の資金で「在日ブラジル人教育者向けオンライン教員養成講座」を実施するほか多国籍の子どもを集める「マルチカルチャー・キャンプ」や、ユネスコスクールと外国学校の高校生が一堂に集う「UNESCOユースセミナー」を開くなどしてきた。ブラジルと日本をつなぐボランティア団体「CRI‐チルドレンズ・リソース・インターナショナル」を1988年に設立して現在は運営委員。
日本性教育協会運営委員 著書に『耳をすまして聞いてごらん』