箱崎の記憶 TETUSIN DESIGNのオフィス「M2」
長年、箱崎キャンパスの保存運動に取り組まれてきたデザイナーの先崎さん、自宅兼TETUSIN DESIGNのオフィス「M2」お披露目会にお邪魔しました。
筥崎宮の参道沿いに目をひく建築物は、九州大学の旧・松浜厚生施設(もと生協)の外観と、内装材、建具を受けついだもので、佐賀大学の平瀬有人先生が設計をされています。 ㅤ
私が箱崎キャンパスで働いた期間はさほど長くはありませんでした。
それでも破壊されていく「記憶」を目撃し、何もしなかった(もう決まっていることだから)、何もできなかった(そのすべが分からなかった)ことに対して無力感を持っていたのですが、このように再生された姿を見て、勝手ながら救われた思いがしました。
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私はキャンパスがなくなるという変化を、センチメンタルにしかとらえられなかったのですが、夜に九州大学の南博文先生と箕浦永子先生、箱崎水族館の花田さんご夫妻、大学湯の石田健さんと銀ソーダさんのお話を伺う機会があり、全員が「1000年の時間の中で、九州大学があった時間はひとつの通過点である」「箱崎という土地がもつ力は変わらない」という趣旨だったことから、私たちは生きていくんだなという前向きな気持ちを持つことができるようになりました。
そして、だからこそ記憶を丁寧に残したM2の素晴らしさを知る気がしました。 ㅤ
先崎さんからは後日、「今後は建物の記憶が古い箱崎の町と新しくできる町のつながりの1つになれば幸いだなと思います。」とメッセージをいただきました。
訪れた皆さま、しっかり受け取られたように思います。ㅤ