いつも胸に、希望をもっている。

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来月18歳になる老犬、日中は庭で好きに過ごし、夜間だけ室内で寝るライフスタイルを長く続けてきましたが、すっかり目が見えなくなり、耳も遠くなりました。
食欲は旺盛ながら、最近は昼間でも部屋に入りたがり、ベッドで一日中うつらうつらとしています。
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部屋に入ると、滑って転んだりして、ヨロヨロしながらもフローリングのダイニングをぐるぐるとパトロールします。
多くの時間を費やすのがダイニングテーブルの椅子の下。
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子どもたちが小さかったころは、食べ物がたくさんポロポロと落ちていて、彼にとっては宝の山でした。
そこに行けば、いつも素敵なものがある。
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子どもたちが大きくなって、食べ物をこぼすことがなくなり、進学して家を出た上の子の席が空席になっても、彼はパトロールをやめません。
何度でも何度でも、諦めることなく、椅子の下を探します。
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彼の希望を探す姿は、小さかった子どもたちの姿を思い出させてくれて、いつも胸がじーんとしてしまうのです。