困った雑草から、美しい布を生みだす。発想や思考のバイアスを大逆転させるものづくり。
札幌に住む作家の渡邊志乃さんは、魔法の手を持っています。
繁殖力の強さで困った雑草として扱われている葛から、糸を取りだし、身近な植物で染め、美しい葛布の帯地を織るのです。 ㅤ
なぜ着物の帯地かというと、
・布を布のまま使える
・使い古した後の使い道が多様である
・何十年、という単位で長く使っていただける
からで、
「布の価値、布の文化を捉え直し、暮らしに生かす。長く使ってもらえる価値のあるものを提供する」という創作の理念を持っておられます。 ㅤ
全てのもの、そのものの持つ特徴や美しさはそのままに、だけれどもただ見守る、または放置する、というのではなく、その持つ特徴を損なわないように積極的に関わるということ。
「とても難しいことですが、この感覚に立ち返る度に私はホッとします」と志乃さん。
制作には常にその廃棄のことまで考える責任が伴う、地球環境を守ることであるともおっしゃいます。 ㅤ
私自身、ささやかながらものづくりをしていたともあり、いわゆる織りや染めといった手仕事には親しみあるほうだと思っていますが、志乃さんの活動は、発想や思考のバイアスを大逆転させる、まさに今の時代に求められるものだと確信しています。
「私が布を作るというよりも、まるで葛に作らされているようです」とほほ笑まれる姿に、すさまじい覚悟を感じるのです。 ㅤ
その志乃さんが札幌で、来月個展を開かれます。
「北海道に自生する葛と植物で、北海道の自然と色を織り込み、日常の喧騒から離れふと我に返るような、ほっとする心象風景を呼び起こすような心地の良い時間と空間をご提供したいと考え制作しています」とのメッセージ。
飛んでいきたい気持ちです。ぜひ、札幌にご縁のある方、お越しください。 ㅤ
葛の布 帯展 -色、文様-
2021.5.14 (金)〜 5.17 (月)
指月ギャラリー/札幌市中央区南1条西21丁目2-12
※要予約
https://peatix.com/group/10321648/events
※人工香料を会場に持ち込まないよう、ご協力をお願いいたします。
志乃さんの公式サイト
「葛布の帯」https://kuzunonuno.com/